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ザ・タイガース 映画出演リスト | |
・ドリフターズですよ!前進前進また前進 (ゲストでの映画初出演) ・ザ・タイガース 世界はボクらを待っている (映画初主演) ・クレージー メキシコ大作戦 (沢田研二のみゲスト出演)*上記ページに併記 ・ザ・タイガース 華やかなる招待 (主演映画第2作) ・ハーイ!ロンドン(主演映画第3作) ・日本一のヤクザ男(沢田研二のみゲスト出演) ・喜劇 右向けェ左!(タイガースとして最後にゲスト出演した映画) |
タイトル/ポスター/パンフレット |
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ザ・タイガース 華やかなる招待
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シー・シー・シー (3分20秒=映画よりの実測) 冒頭の東宝マーク〜作品タイトル部分ではオーケストレーションされた劇伴音楽の「青い鳥」が流れているが、続けてスタッフ・出演者のクレジット部分では暗転して音楽も消える。 そして暗幕を背景に、照明の当たったベースがリズムを弾き出し、続けてギターがフレーズを響かせて この曲が始まるという、ワクワクするオープニング。 演奏はレコード・テイクに酷似しているが、ギター・リフや掛け声が異なる部分があるので、別テイクと思われる。 もっとも、レコード・テイクを基にリミックスしたものなのかもしれないが、それ以外でも明らかに曲の構成は異なっている。 まず、レコード版でのブレイク部分でも「C-C-C-C」というリフレインと演奏が続き、ブレイク後のギター間奏部分につながる。 そして映画版では、レコード版のエンディング辺りでブレイクがあるが、再開後はもう一度「愛の女神は ジプシー」以降が繰り返されてフェイドアウトしていく。 (レコード版にあるエンディングは無く、その部分に学校の始業ベルの音が重なってストーリーが始まる) また、レコード版よりテンポが速いが、それでもレコード版より30秒近くも長い。 ベースやギターの音質も生々しく聴こえる気がするし、これは、レコード・テイクを超えるヴァージョンだと断言したい。 君だけに愛を (3分54秒=映画よりの実測) 売り込みに行ったライヴ・ハウス(ディスコ)で、こっそり、しかし熱演する曲。 このシーンに登場する内田裕也が「ノッてますねェ」と言うが、実際、この演奏は素晴らしい。 これもレコードとは酷似しているが、別テイクのはず。 テンポも速い。 上記曲と同様に演奏の印象は荒々しくも躍動感があり、例えば間奏のギター・ソロもフレーズは同一なのだが、その音質もタッチもレコード・ヴァージョンに勝る。 後半は残念ながらセリフが被さるが、間奏部分以下が繰り返される編集となっている。 エンディングはレコードとは異なり、演奏しているのがバレて中断。 光ある世界 (3分00秒=映画よりの実測) 眠っているジュリーを見詰める久美かおり。 BGMは「青い鳥」の劇伴音楽だが、続いて始まる2人のイメージ・シーンには、この曲が流れる。 使われているのはレコード・テイクだが、冒頭のイントロを多少カットした部分からフェイドイン気味に始まり、ラストは早々にフェイドアウトして場面が切り替わる。 この映画の大きな価値は、オーケストラ・アレンジのアルバム『ヒューマン・ルネッサンス』の曲が未レコード化のバンド・ヴァージョンで聴けることだが、その意味では、この曲に関しては まったく魅力が無い。 シンプルなアレンジで聴いてみたかった。 リラの祭り (3分24秒=映画よりの実測) 廃屋(ガレージ?)での演奏シーンだが、途中からシームレスでイメージ・シーンへと展開する。 お祭りというよりは(今ならば)ディズニーランド風な遊園地のイメージで、屋外ロケ・ショットもあるが、ちょっとスケールが小さいのが残念。 ディズニーランドの必要はないが、ジャガーズ主演映画 『進め!ジャガーズ 敵前上陸』のように、ぜひとも当時の日本最高クラスの遊園地・横浜ドリームランドで撮影してもらいたかったな。 (ちなみに、1964年オープンのドリームランドだったが、2002年2月で閉園。 これも残念…) 演奏は、冒頭にギター、ベースとドラムスが掛け合うイントロ、および同フレーズを使ったエンディングも付いたバンド・ヴァージョンで、当然に収録アルバム『ヒューマン・ルネッサンス』とは別テイク。 タイガースのパブリック・イメージとは異なる、いわゆるガレージっぽさにあふれた好演で、この映画のハイライトの1つ。 (この演奏で『ヒューマン・ルネッサンス』に収められていたならば、アルバム全体の印象も大きく変わり、「ビート・バンドが創ったクラシカルなトータル・アルバム」として、より素晴らしいものになったと思われるのだが) 間奏のギターも、ストリングスと絡んでいるレコード・テイクとは違って、全編 ソロで弾かれている。 映像では森本太郎はオルガンも弾いている。 ただし、ジュリーがメインのシーンとはいえ、ヴォーカルでは やはり加橋かつみの声が目立つ点はレコードと同様。 曲の構成も大きく違っている。 レコードでは「コーラス」→「Aメロ」→「コーラス」→「サビ」→「Aメロ」→「コーラス」→「間奏」→「コーラス」でフェイドアウトしていくが、映画版は「イントロ」→「コーラス」→「Aメロ」→「コーラス」→「Aメロ」(繰り返し)→「コーラス」→「サビ」→「間奏」→「コーラス」→「Aメロ」→「コーラス」→「エンディング」というロング・ヴァージョン。 ただし、エンディングでは電線がスパークするという設定の爆発音が大きく被さっていて、イメージ・シーンから廃屋シーンへと戻る。 なお 後で、この曲が売り込まれたデモ・テープの演奏として44秒ほどリプライズされる場面あり。 ジンジン・バンバン (3分15秒=映画よりの実測) 他人と間違われて捕まった留置場の中でのミュージカル風なイメージ・シーンの曲。 (他にミュージカル的シーンとしては、メンバーが初めて東京に出て来た時、『ウエスト・サイド物語』風にビル街で、また東京タワー等をバックに踊る場面がある) トランペット・ソロから、ドラムスを挟んで、各メンバーがベース、オルガン、ギターと(架空の楽器を)弾いていくイントロが印象的だが、レコードとは別テイクの、ブラス・セクションも加わった演奏。 構成も異なり、「昨日はつれない雨だった〜」のAメロ2番はカットされて「傘も持たずに〜」と始まるサビ部分につながる。 この部分、レコードではテンポ・ダウンするが、映画版はアップ・テンポのまま進行。 続く間奏はリピートされ、2度目はブラスがリードを取る。 その後のレコードでのブレイクっぽい部分と、くだけたヴォーカルでフェイドアウトしていくリフレインの代わりに、映画では、完全にブレイクした後、ミュージカル音楽風なエンディングが付いている。 トータル・タイムはレコード・ヴァージョンより短いが、聴けるサウンドは より派手で 締まりも良い。 なお、踊るシーンではメンバーも頑張ってはいるが、何といってもケン・サンダースのリズム感が抜群で、たちまち場をさらう。 また 後で、この曲が15秒ほど映像と共に「想い出」としてフラッシュバックされるシーンがある。 廃虚の鳩 (2分22秒=映画よりの実測) この映画冒頭のタイトル・バックでの曲名クレジットは「廃墟の鳩」。 その場にジュリーがいない設定での4人による演奏シーンで、森本太郎が弾くオルガンをフィーチャーしたバンド・ヴァージョン。 テンポも速い。 オーケストラ・ヴァージョンのレコードとは当然に別テイクのシンプルな演奏だが、加橋かつみのリード・ヴォーカルの魅力は却って引き立っているかもしれない。 なお、イントロ冒頭の2小節と、同じフレーズの間奏2小節はカットした演奏。 レコードのエンディングでリフレインされる「生きることの喜びを〜」の前で、映画版は唄わなくなり、演奏のみが多少続く。 そしてジュリーのシーンに切り替わり、「青い鳥」の生ギター・フレーズ(劇伴音楽)が重なる。 イヴ YVES (0分23秒+0分11秒=映画よりの実測) メンバーの深刻な会話シーンで、加橋かつみが生ギターで弾き語る曲。 音は小さい。 ザ・スパイダースの『アルバム No.4』収録曲。 タイガースの衣裳もデザインしたブティック「ベビー・ドール」およびイタリアン・レストラン「キャンティ」の川添梶子が作詩し、作曲とソロはかまやつひろし、という曲なので、いわゆる「キャンティ」人脈へのトリビュート的に、加橋が即興的に取り上げたものと思われる(ひょっとしたら、このシーンは同時録音で撮影されたのかもしれない)。 冒頭のタイトル・バックにも、この曲名のクレジットは無い。 青い鳥 (3分36秒=映画よりの実測) この映画のテーマ・ソングともいうべき曲で、このメロディーを使った劇伴音楽が映画の各所で使われていたが、タイガース版は映画の終盤で唄われる。 レコードとは別テイクのバンド・ヴァージョンだが、後半はストリングスが加わる(というより、別のストリングス・ヴァージョンとミックスしたのだろう)。 森本太郎のヴォーカルは、掛け合い部分のみならず、ハーモニー部分も聴こえないようだが、他のメンバーの声も突出せずにコーラスの中に固まっていて、完全にジュリーのソロの趣き。 イントロはレコードと同じ8小節だが、おなじみのギター・フレーズは後半4小節のみで、前半4小節は森本太郎の弾くオルガン・ソロになっている。 間奏8小節は2度繰り返される。 この時のギター・ソロはシングル・レコードの方のヴァージョンに準拠。 テンポも速く、シングル・ヴァージョンの感じ。 映画の設定的には楽器を持たずに演奏しているというシーンだが、実際に楽器を手にすることになる後半の場面からストリングスの音が加わってくるのは皮肉的。 最後の方は歓声もダブり、間奏と同じギター・フレーズが聴こえてきたところで、次曲にチェンジ。 シーサイド・バウンド (0分55秒=映画よりの実測) 映画冒頭のタイトル・バックに曲名クレジットは無いが、前曲のエンディングから重なるようにして、この曲の断片が始まる。 画面では真夏の後楽園球場でのコンサートの模様も映し出され、歓声もダビングされているが、それとは無関係(レコードと同じスタジオ・テイクのようだ)なのが、何とも惜しい。 真赤なジャケット (0分36秒=映画よりの実測) さらに、この曲の断片(これもレコードと同じスタジオ・テイクと思われる)にチェンジするが、取って付けたとしか思えない構成(この曲もタイトル・バックでの曲名クレジットは無い)。 同曲に続いて「君だけに愛を」「ジンジン・バンバン」「リラの祭り」等のメロディーをあしらった劇伴のエンディング音楽が高鳴って、映画は終了する。 しかし、映画のドラマ的にも音楽的にも龍頭蛇尾という感じで、実に欲求不満。 |
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データ | |||
1968年12月19日(木曜日)封切 東宝系公開 同時上映:『燃えろ!青春』(こちらが併映作品) 東京映画+渡辺プロ作品/東宝配給 上映時間 1時間28分 製作=渡辺晋+五明忠人/脚本=田波靖男/監督=山本邦彦/撮影=村井博/音楽=すぎやまこういち+宮川泰/振付=土居甫 出演=ザ・タイガース(沢田研二/瞳みのる/森本太郎/加橋かつみ/岸部おさみ)/久美かおり/小山ルミ/西村晃/春川ますみ/牟田悌三/大泉滉/小松政夫/ケン・サンダース/内田裕也/伊藤素道とリリオ・リズム・エアーズ/他
ここに掲載したビデオは以前のパッケージで価格は\13800だったが、現在はパッケージが異なり、税別\5500と比較的買いやすい価格になっている(東宝ビデオ TG4899S)。 レーザーディスクは未発売。 前作『世界はボクらを待っている』のように映画と連動したアルバムはリリースされなかったが、後年の1982年2月21日にカセット・テープのみで『想い出の映画サントラのすべて』がアポロンから発売された。 これは映画のサウンド・トラックそのものを編集した内容で、残念ながら、全曲完全収録というではないが、使われている音源は、あくまで映画からのもの。 これは、長い間、幻のアイテムだったが、2002年1月23日に『ザ・タイガース レア&モア・コレクション II 〜オリジナル・サウンドトラック編〜』としてCD化された(右の写真)。 |
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前作『世界はボクらを待っている』とは異なり、東宝傘下の東京映画、および渡辺プロの製作作品となっている。
ただし、東宝系の映画館での公開という形はまったく変わらない。 なお、森本太郎の日記では公開日は12月21日(土曜日)となっているが、東宝等の資料では12月19日(木曜日)に統一されている。 ちなみに、この映画の上映は、基本的には12月31日まで。 撮影は1968年10月6、7日から24日頃までの間に行なわれたようだが、スケジュールが遅れて、10月25日以降、11月いっぱい掛かったという説もある。 映画のエンディングには、同年8月12日に後楽園球場で開催され、2万1000人(1万3000人説も)を動員したコンサートのシーンも(わずかだけだが)挿入されている。 前作は学芸会みたい(な設定)だった、というメンバーの意見が通ったのか、今回は高校生がプロのバンドを目指すという、いわば等身大のストーリー。 『青春デンデケデケデケ』のタイガース版というところか。 (『青春デンデケデケデケ』は、芦原すなお作の直木賞受賞小説。 GSが登場する直前の時代、ベンチャーズに天啓を得たアマチュア・エレキ・バンド少年達の青春物語。 1992年に大林宣彦監督で映画化もされた。 ちなみに、その映画には岸部修三も出演。 エレキ・バンドに理解を示す教師役! ナイス・キャスティングと言いましょうか、時代は変わると言いましょうか) しかし、この時点で既にトップ・スターになっていたタイガース主演映画の設定としては、却って幼稚で時代錯誤な感じがしてしまうのではないでしょうか。 前作のように、最初からタイガース自身として登場し、人気絶頂のタイガースならばこそ説得力を持ち得る「夢物語」を、恥らうことなく嬉々として演じ抜いて欲しかったと思う (ま、それが、日本映画を創る側も観る側も、最も苦手とする描写なのではありますが、前作『世界はボクらを待っている』は、そうした映画として見事に完成していたのですから)。 そうでなくても、せっかくの後楽園球場でのライヴ・シーン等のドキュメンタリー部分を大々的にフィーチャーしてくれていれば、資料的価値も相当に高まったはず…。 とはいえ、右欄「歌唱シーン」で触れているように、レコードとは別テイクの演奏の数々は新鮮なだけではなく、相当に素晴らしい。 タイガースのビート・バンドとしてのひらめきが大いに感じられる好演奏が多く、だからこそ、ビジュアルも含めて、演奏シーンをこそ もっと観せて欲しかったと考えるのは、決して筆者だけではないでしょう。 |
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