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タイトル/ジャケット パッケージに関するデータ/コメント
自由と憧れと友情
FREEDOM, HOPE & FRIENDSHIP
帯/帯コピーは「ザ・タイガースの最高傑作ついに登場!」、この帯が付いていないとジャケットの外観は寂しいものがある アルバム:自由と憧れと友情
この裏面を見ると良く分かるように、ジャケットは事務用封筒を模したもので、レコード出し入れ口は綴じひもで留めるようになっている等、実に凝った仕様
(↑ジャケット裏面)
[LP] 1970年12月15日発売
レーベル:ポリドール(発売:日本グラモフォン)
レコード番号:MP1486 価格:\1750

封筒型の変型ジャケットで、事務用の茶封筒を模した仕様。 レコード出し入れ口は裏側の綴じひもで留めるようになっている。
LP3面見開きサイズのカラー・ポスター5枚(各メンバー別)、モノクロ写真が貼られたLPサイズの厚紙(薄い紙の茶封筒ジャケット補強も兼ねている)、変型横長サイズの歌詩カード付(下記写真)。
岸部修三 沢田研二 森本太郎 瞳みのる 岸部シロー
モノクロ写真が貼られた厚紙インサート 左記厚紙の写真部分のアップ
(左の写真部分)
この裏面に歌詩掲載
(歌詩カード表側)

下記のクレジットあり(カッコ内は当方で注記)。
ARRANGED BY KUNI KAWACHI(クニ河内)
PRODUCED BY KUNIJI NAKAI(中井國ニ), IKUZO ORITA(折田育造) & THE TIGERS
MIXED BY KINICHIRO MAEDA(前田欣一郎)
A.D. & DESIGN BY NOBUOHIRONO(廣野展生)
PHOTOGRAPHY BY TADASHI MUTO(武藤義)

オリコンのLPチャートでは最高11位を記録。
この前にリリースされたベスト編集LP『タイガース・アゲイン』よりランクは1つ上とはいえ、売り上げ枚数ではそれを下回った。 ランクイン中の売り上げ枚数は32,000枚。

なお、1971年11月頃以降、発売会社名が「ポリドール」に変更された再プレスが、タイガースの他のアルバムや沢田研二の『ジュリー』では存在するので、このアルバムでも同様の再プレスがあった可能性がありますが、当方では現品が確認出来ていません(この変型ジャケット製作が大変なので、再プレスは無かったかもしれませんが)。
また、規格番号の異なるLPでの再発売はありません。
カセット版での発売状況に関しましては、手元に資料がありません。
このページの最初に戻る [CDでの再発売]
[CD] 1990年12月21日 ポリドール 番号:POCH-1054
「パーフェクトCDボックス」の1枚として初CD化。
変型ジャケットは再現されていないが、付録のポスター5枚(と歌詩カードのビジュアル部分)は、1枚の紙(の両面)にまとめられて復刻。 同じく、モノクロ写真もインサートの見開き部分に掲載されている。 なお、パッケージ表面左上のクレジットはLPジャケットをコピーしているので、レコード番号がMP1486、価格は\1750となっている。 パッケージ裏面はオリジナルLPでの留め金のある封筒裏側の「写真」。
POCH-1234の帯/帯コピーは「新生タイガースのスタジオ録音オリジナル・アルバムとしては最初で最後となった作品。激動と変革の時代に呼応して、新たな音楽的方向性を模索し始めた彼らの意欲作。<1970年12月発表>」
POCH-1478の帯/帯コピーは「加橋かつみに代り岸部シローが参加。新生ザ・タイガースの最初にして最後の書き下ろしアルバム。('70年12月発表)」

[CD] 1992年 7月25日 ポリドール 番号:POCH-1234 税込\2200
単独では初のCD化。 同年に各社でリリースされた「GS 25th ANNIVERSARY」シリーズの1枚としてリリース。
添付の復刻ポスター等は上記盤と同一。 パッケージ左上部分も上記盤と同じ。 オリジナルのような歌詩カードではなく、中村俊夫によるライナー・ノーツが掲載された歌詩カード添付。
なお、この時の再発での『オン・ステージ』『世界はボクらを待っている』『ヒューマン・ルネッサンス』は上記ボックス盤での仕様から、中のブックレット部分が削られていたが、このアルバムに関しては上記ボックス盤と同じ仕様だった。

[CD] 1995年 2月25日 ポリドール 番号:POCH-1478 税込\1500
価格を変更した再発CD、各社が当時プロモートした廉価な「Q盤」シリーズ(ポリドールでは「CD極上音楽」、略して「CD極楽」シリーズ)としてリリースしたもの。
この時は、ポスター復刻部分は付けられなかったし、歌詩カードのライナー・ノーツ掲載面は白紙になっている(このシリーズの再発での『オン・ステージ』『世界はボクらを待っている』『ヒューマン・ルネッサンス』にはライナー・ノーツは掲載されていたのだが)。 パッケージ左上のクレジット部分は修正、裏面には曲目がクレジットされた。

[CD] 2000年 6月28日 ポリドール 番号:POCH-9036
「パーフェクトCDボックス〜ミレニアム・エディション」の1枚。
ポスター5枚は、このボックスセット付属のLPサイズのブックレットにまとめて収録されている。 モノクロ写真はパッケージの透明トレイの下部分に掲載。 パッケージ左上部分のクレジットは削除。 また裏側の留め金部分の「写真」が今までのCDとは異なっている。

UPCH-9020の帯/上部以外は、オリジナルLP初版の帯デザインを再現[CD] 2002年 4月24日 ポリドール(制作:ユニバーサル ポリドール/発売:ユニバーサル ミュージック/販売:ビクターエンタテインメント) 番号:UPCH-9020 税込\2500
タイガースのデビュー35周年記念として、オリジナルのLPパッケージを CDサイズで復刻した紙ジャケット仕様。 3面見開きのポスター5枚、モノクロ写真が貼られた厚紙、変型横長サイズの歌詩カードも同縮尺で再現(それぞれの色地も紙質もオリジナルに限りなく近い、厚紙に型押しされたタイトル文字部分まで復刻)、帯も初版のデザインを取り入れているし(右写真)、さらにはパッケージ裏側の留め金と綴じひもまでオマケで付いている!(ただし、この留め金はほぼ原寸サイズなので、縮尺的には大き過ぎる。 また細かいことでは、留め金と綴じひもの材質はオリジナルとはかなり異なる)
また、歌詩等を再掲載した別紙カード添付。このページの最初に戻る ただし、新たなライナーは未掲載。

発売中のLP『アゲイン』、近日発売のシングル「誓いの明日」とLP『自由と憧れと友情』、そして園まりの新曲も併せて宣伝
(↑当時の雑誌広告)
レコーディング・データ等
録音日に関しては正確な資料が見当たらないが、当時のスケジュール表では、まず1970年9月4、5、8日に「レコーディング」との記述が見られる。

その日に本当に録音されたかは定かではないし、また3日間だけだったはずはないにしても、発売時期から逆算すると、この9月上旬にレコーディングが行なわれたことは間違いないと思える。

しかしチェックすると、それ以前の6月25、26日や7月31日にも「LPレコーディング」と記されている。
おそらく解散を意識したかのような内容を持つ、先行シングル・カットされた「誓いの明日」や「出発のほかに何がある」は、(8月には内定していたという解散決定を経て)9月になってからの新録音だったにしても、他のLP収録曲は、それ以前にも散発的にレコーディングされていたのだろう(外部の作曲者自身が自作の録音時に演奏で参加している可能性も高いと思われる)。

後にレコード化もされた田園コロシアムでのライヴが同年8月22日にあったが、その前後に当時開催中の万博でのウエスタン・カーニバルや恒例の日劇ウエスタン・カーニバルも行なわれていたので、おそらくそれらが終了するまではライヴにウエイトが置かれ、それ以降、集中的にレコーディングに取り掛かり、LPとして仕上げたのではないだろうか。

いささか散漫な印象もあるアルバムだが、こうしたレコーディング・スケジュールも内容に影響しているような気がする。
曲の内容に関するデータ/コメント
-
曲タイトル
演奏時間
作詩
作曲
編曲
備考
A面 1 出発のほかに何がある
NOTHING BUT DEPARTURE
3分28秒 ジャン得永 森本太郎 クニ河内 イントロダクションの語りは沢田研二だが、リード・ヴォーカルは岸部シロー
先行発売されたシングルB面にも収録
2 友情
FRIENDSHIP
3分53秒 安井かずみ 森本太郎 リード・ヴォーカル=沢田研二
以前に「エンジェル」のタイトルだった曲の詩を変えたものと言われるが、1969年3月3日にレコーディングされた未発表曲「私のエンジェル」のことだろうか
3 処女航海
MAIDEN VOYAGE
2分50秒 山上路夫 沢田研二 リード・ヴォーカル=沢田研二
4 もっと人生を
LIVE MORE
1分52秒 安井かずみ 沢田研二 リード・ヴォーカル=沢田研二
5 つみ木の城
BRICK CASTLE
3分31秒 山上路夫 柳田ヒロ リード・ヴォーカル=岸部シロー
6 青春
YOUTH
3分13秒 安井かずみ チト河内 リード・ヴォーカル=沢田研二
作曲者・チト河内が在籍したハプニングス・フォーの1969年11月に発売されたシングル「命短し」のB面にも同タイトルの曲が収録されていたが、これは異曲
B面 7 世界はまわる
THE WORLD GOES ROUND
2分45秒 山上路夫 森本太郎 リード・ヴォーカル=岸部修三
8 誰かがいるはず
WHO IS THERE
4分07秒 安井かずみ クニ河内 リード・ヴォーカル=沢田研二
9 脱走列車
THE TRAIN FOR FREEDOM
3分06秒 山上路夫 かまやつひろし リード・ヴォーカル=岸部修三
サリー&シローのアルバム収録曲「どうにかなるさ」同様、作曲者・かまやつひろしの1971年6月リリースのアルバム『どうにかなるさ/アルバムNo.2』でセルフ・カヴァーされている(下記写真)
10 人は…………
………HUMAN BEING
2分33秒 安井かずみ かまやつひろし リード・ヴォーカル=岸部シロー
11 海の広さを知った時
WHEN I SEE THE SEA
2分23秒 安井かずみ エディ藩 リード・ヴォーカル=沢田研二
12 誓いの明日
PROMISE FOR FUTURE
3分35秒 山上路夫 クニ河内 リード・ヴォーカル=沢田研二
シングルA面として先行発売、これがタイガース最後のシングルとなった
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当時のタイガースのいわゆるオリジナルLPとしては『ヒューマン・ルネッサンス』に次ぐものだったが、加橋かつみから岸部シローにメンバー・チェンジした後では最初の、そして最後のアルバムとなった。
ちなみに、アルバムからの先行カットの形でリリースされたシングルは「廃虚の鳩」と「誓いの明日」の2枚だけだが、いずれもA面曲はアルバムの最終曲、なおかつB面にカップリングされたのはアルバムでは冒頭の曲だった。 特に、この『自由と憧れと友情』ではタイガース最後のシングルになった2曲が収録されているため、そのB面の「出発のほかに何がある」でアルバムが始まるのにはちょっと違和感があるけれども、「先行シングルのA面曲」→「そのB面曲=アルバムA面1曲目」→「アルバムのラスト曲=シングルのA面曲」→…というように、シングルとアルバムで「終りの無い円環」を描くという構造(「タイガース解散→お別れ」ではなく)を意図したのかも、とは考え過ぎかな、やっぱり。

かまやつひろしのアルバム『どうにかなるさ/アルバムNo.2』内容はメンバー作曲によるものが5曲、全曲のアレンジも担当したハプニングス・フォーのクニ河内が2曲、同じグループのチト河内が1曲、スパイダースのかまやつひろしが2曲(右の写真は「脱走列車」のセルフ・カヴァーが収録された、かまやつのソロLP『どうにかなるさ/アルバムNo.2』)、ゴールデン・カップスのエディ藩1曲、そしてGSではないエイプリル・フール〜フード・ブレインの柳田ヒロも1曲を作曲している。
クニ河内、かまやつひろしはタイガースのシングル「都会」「怒りの鐘を鳴らせ」やサリー&シローのアルバム『トラ 70619』での接点があったが、チト河内、エディ藩、柳田ヒロは初めてタイガースのレコードに参加した形。 しかし、タイガース関係のスタッフとしては今まで以上にロック色の濃い、異色の顔ぶれではあった。

「出発のほかに何がある」「友情」「世界はまわる」「誓いの明日」は1971年1月24日の解散コンサートでも唄われ、「世界はまわる」以外の3曲はアルバム『フィナーレ』にも収録された。 また「誓いの明日」は、再結成タイガースの『1982 LIVE』『A-LIVE』にも、別々のライヴ・テイクで収録されている。シングル「誓いの明日」参照

さて、このアルバムのジャケット・デザインは、予算が使えるタイガースらしい豪華で凝った仕様ではあったが、事務用茶封筒を模したパッケージや渋い色調のポスター等、金が掛かっているにもかかわらず、実に地味なたたずまい。 写真も派手なスターらしさは無く、新入社員みたいなスーツ姿。 5人が一緒に写っている写真もモノクロで、モロに記念写真風。 『自由と憧れと友情』という、学生の寄せ書きのようなアルバム・タイトルも含め、「(アイドルからの)卒業」「新たな旅立ち」が強調されているようだ(先行カットされたシングル「誓いの明日」の駅のホームでの写真も同様)。 これは渡辺プロ側の意図ではなく、あくまでメンバー側の意志の表現だったと思える。
だから、本来はタイガースの解散発表と同時発売か、このアルバムそれ自体が解散宣言になるというような、メンバーの(美しい)構想で制作が進められたとも思えるのだが、12月上旬のスポーツ紙がスクープした記事によって、アルバムの発売前に解散が急きょ発表されることになり、その結果、当初のリリース意図は不明瞭になったのではないだろうか。

このアルバム『自由と憧れと友情』でのビジュアル ビートルズの編集アルバム『ラヴ・ソングズ』でのビジュアル
また、このアルバムに使われたデフォルメされたメンバー写真(右写真)は、再結成タイガースのメイン・ビジュアルとしても使用されたが(この時は瞳みのるの位置に加橋かつみをフィーチャー)、気になるのはビートルズのビジュアル(同じく右写真)との相似。 このビートルズの写真自体は1960年代に撮影されていたものだが、こうしたデフォルメしたデザインが使用された編集アルバム『ラヴ・ソングズ』がリリースされたのは後年の1977年になってからのことだった。 このビートルズのアルバムの編集コンセプトは日本の会社から出されたものとも言われるが、デザインのコンセプトも日本側から提示されて、その時にタイガースのビジュアルが参考にされた可能性も? それとも、それ以前にもこうしたデザインはどこかで使用されていて、タイガースのデザイナーが引用したものなのだろうか。
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